导演:浅利誠
【柄谷行人「文字論」との出会い】 この度、日本語と思想、言葉と思想の関係を問う『日本語と日本思想----本居宣長・西田幾多郎・三上章・柄谷行人』を上梓することになった。本書は、藤原書店の季刊雑誌『環』に「日本語で思考するということ」というタイトルで8回にわたって連載されたものからなっている。『環』の第4号(2001年冬号)の「日本語論」特集号に「西田幾多郎と日本語----<場所の論理>と助詞」を寄稿したという経緯もあり、日本の思想家と日本語の問題をもう少し念を入れて書いてみたいという思いが私にはあった。 しかし、この論文を書くきっかけとなったのは、柄谷行人『<戦前>の思考』の中の「文字論」との出会いであった。西田と日本語、宣長と日本語というテーマに日本語の文字の問題から迫って行く柄谷の省察は新鮮かつ衝撃的であった。にもかかわらず、私は、柄谷とは逆に、...(展开全部)